トイプードルの股関節脱臼は放置厳禁!早期発見につながる症状や治療のタイムリミット

「急にキャンと鳴いて後ろ足を上げたまま歩かなくなった」
「フローリングで滑った後から、後ろ足をかばうような歩き方をしている気がする」
「トイプードルの足を触ろうとすると怒ってくる」
トイプードルにこのような症状がみられたら心配になりますよね。
このような症状が出る原因として、股関節脱臼が疑われることがあります。
今回はトイプードルの股関節脱臼の症状について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、気になる症状がみられたときの参考にしてください。

クッションに乗っかるトイプードル

股関節脱臼とは、骨盤から大腿骨が脱臼している状態です。
通常股関節は、骨盤にあるくぼみに太ももの骨である大腿骨がはまっています。
この周りは靱帯や関節包という組織などで守られていて、簡単には外れない仕組みです。
しかし、何らかの原因で靱帯が断裂して関節包が破れると大腿骨がくぼみから外れてしまいます。
これが股関節脱臼です。

股関節脱臼の原因

股関節脱臼の原因は主に2つです。
飛び降りや交通事故などの外傷によるものと、股関節形成不全など股関節の持病によるものです。

トイプードルの股関節が脱臼してしまったときの症状について、以下の3つにわけてそれぞれ解説します。

  • 発症直後の症状
  • 発症から数時間〜数日後の症状
  • 股関節脱臼を放置した場合の症状
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発症直後の症状

股関節脱臼の発症直後は、強い痛みによって後ろ足を完全に浮かせた状態が典型的です。
飛び降りやジャンプなどなんらかのアクシデント後に、以下のような症状が見られることが多いです。

  • 突然悲鳴をあげて、後ろ足を完全に浮かせて動かない
  • 太ももの付け根あたりに触ろうとすると、激しく嫌がって鳴く・噛もうとする
  • 後ろ足の先が、内向き・外向きなど不自然な角度に向いている
  • 強い痛みによるパニックから顔つきがかたく、いつもと様子が違う

痛みが強い場合、普段は怒らない犬でも急に怒ったり噛みついてくることがあります。
触れるときは患部に刺激を与えないよう十分に気をつけましょう。

発症から数時間〜数日後の症状

発症から時間が経つと、炎症が広がり痛みの質や行動などに変化が現れることがあります。
以下のような症状が見られることがあります。

  • 3本足での歩行が続くが、表情はやや落ち着く
  • 患部側の後ろ足を、内側や外側に巻き込んだような姿勢になる
  • 発症直後ほどは激しくないが、患部に触ると依然として嫌がる
  • 食欲が落ちる

表情は落ち着いてくることもありますが、痛みに慣れただけで脱臼自体が治ったり、病状が良くなったりしているわけではありません
痛みが強くなると震えや食欲不振などが出てくることもあります。

股関節脱臼を放置した場合の症状

股関節脱臼を治療せずに放置した場合、関節周囲に強い炎症が起き、軟骨や靭帯・骨にも障害が起こり始めます
痛みを避けるために足をかばい続けることで、他の足や腰などに負荷がかかり、二次的な筋肉・関節のトラブルに繋がるリスクもあります。
治療をせずに放置した場合、みられる可能性があるのは以下のような症状です。

  • 後ろ足の筋肉が痩せ細ってしまう
  • 前足もかばうような不自然な歩き方になる
  • 起き上がりにくそうにしている、またはほとんど動かずじっとしている
  • 元気や食欲がほぼなくなり、全身の体調が悪化している

股関節脱臼が起きてから時間が経つほど、治療の難易度が上がります
「まだ動けているから大丈夫」「軽い捻挫かもしれないから様子をみよう」という気持ちでいると、痛みが続き犬の負担になるだけでなく二次的なトラブルに繋がります
気になる症状がみられたときは早めに動物病院で診てもらいましょう。

ドッグランで走るトイプー

股関節脱臼は上記の通り、放置すると痛みが続くうえに二次的なトラブルに繋がることがあります。
股関節脱臼から3日以内には治療を開始できるよう、症状を見つけたら早めに動物病院を受診しましょう。
2週間ほど放置すると脱臼した状態のまま固まってしまい、元に戻しにくい状態にどんどん進んでいきます。
元の状態に戻しにくく、安定させにくい状態になる前に早めに対応することが重要です。
股関節脱臼の治療法や対策についてはこちらの記事をご覧ください。

トイプードルなどの小型犬では膝蓋骨脱臼(パテラ)もよくみられます。
股関節脱臼はパテラと異なって、より早期の治療が重要な状態です。
もともとパテラがある場合、「いつものこと」と判断して足を挙げているのを放置してしまう飼い主さまもいるかもしれません。
しかし、急な症状の変化は股関節脱臼である可能性もあるため、注意が必要です。
以下のような見た目での違いがありますがあくまで目安なため、詳しくは動物病院で検査してもらいましょう。

股関節脱臼膝蓋骨脱臼
症状が出始めるタイミング発症直後から軽度だと無症状なこともある
足をあげるタイミングずっとあげているたまにあげる
痛みの強さ強い痛み痛みはほぼない
触ると嫌がる・違和感がある場所太もものつけ根あたり膝あたり

パテラはグレードによって症状が異なることもあります。
また、パテラ以外の骨や関節疾患で症状が出ていることもあるので、動物病院で診てもらいましょう。

トイプードルが股関節脱臼と診断された。必ず手術が必要?

場合によりますが、手術が提案されることが多いです。
4〜5日、できれば3日以内であれば手術せずに麻酔をかけて脱臼を治す処置で済む可能性があります。
ただしもともと関節が緩い場合や、股関節に持病がある場合などは、再脱臼の可能性を考慮し手術が第一選択になることもあります。

トイプードルの股関節が外れていたら自分で治せる?

治せません。
自己判断で整復しようとすると、かえって血管や神経などを傷つけるリスクがあるため、避けてください。
麻酔も必要になるような処置なので、動物病院に相談しましょう。

犬が足をとても痛そうにしています。動物病院に連れて行くときの注意点は?

患部を刺激しないようにしましょう。
できれば安静にできるようにキャリーに入れておくか、慎重に抱っこしましょう。
段差や揺れが少なく済むような移動経路がベストです。

トイプードルの股関節脱臼の症状は、強い痛みを伴い後ろ足を完全に浮かせたままの状態が典型的です。
放置すると痛みが慢性化し筋肉が痩せていくだけでなく、脱臼したままの状態で固まってしまいます。
その状態だと治療の難易度は上がり、元に戻すことが難しくなります。
トイプードルが足を痛がっているときは、お気軽にご相談ください。

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森ノ宮みどり動物病院

この記事の監修獣医師
  脇谷 知明

脇谷知明獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業東京都内動物病院 勤務
麻布大学付属動物病院 整形外科専科研修医(2022〜)
日本獣医麻酔外科学会所属
Fracture Repair on Toy-Small Breeds Course 修了(2023)
AO Vet Course - Principles of Small Animal Fracture Management 修了(2024)
Depuy Synthes TPLO SEMINAR 修了(2024)
膝蓋骨内方脱臼に対する関節再建ドライラボ 修了(2024