トイプードルの前十字靭帯断裂は自然に治らない!早期治療が大切な理由
「トイプードルの前十字靭帯が断裂していると言われて心配」
「前十字靭帯が断裂していたら手術は絶対に必要?」
「パテラがあると前十字靭帯が断裂しやすいと聞いたけど本当?」
トイプードルの前十字靭帯が断裂していると言われたら不安に感じますよね。
今回はトイプードルの前十字靭帯断裂について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、前十字靭帯が断裂したときや、後ろ足に気になる症状がみられたときの参考にしてください。

前十字靭帯とは?
前十字靭帯とは、膝関節のなかにある靱帯です。
前十字靭帯は太ももの骨である大腿骨と、すねの骨である脛骨をつなぎとめています。
前十字靭帯のおもな働きは以下の3つです。
- 脛骨が大腿骨に対して前にずれないようにする
- 膝が過剰に伸びすぎるのを防ぐ
- 脛骨が内側にねじれないようにする
前十字靭帯が断裂するとどうなる?
前十字靭帯が切れると膝の安定性が失われ、脛骨が前にとびだす状態になります。
それによって以下のような二次的なトラブルが起こる可能性があるため、早期治療がおすすめです。
関節炎による炎症
前十字靭帯が切れると膝関節が不安定になり、その刺激によって関節炎が進行していきます。
関節炎は一度進行したらもとの状態には戻りません。
関節炎の進行を最低限にするためにも、早期発見や早期治療がポイントになります。
変形性関節症、いわゆる関節炎についてはこちらをご覧ください。
半月板損傷による痛み
半月板は膝関節のクッションの役割を果たしています。
前十字靭帯が断裂すると膝関節が不安定になり、半月板に過剰な負荷がかかって損傷するリスクが高まります。
反対足への負担増大
痛む足をかばうことで反対側の足に負担がかかりやすくなります。
また、片足に靱帯断裂が認められた犬のうち、30〜40%ほどが2年以内に反対側の靱帯も断裂すると言われています。
痛む足をかばって反対側に負担がかかることも靱帯が断裂するリスクの一因となるでしょう。

前十字靭帯が断裂する原因
前十字靭帯断裂の原因は明確にはわかっていません。
人の前十字靭帯断裂の原因はスポーツ中の外傷が多いといわれています。
しかし、犬では加齢とともに靱帯が痛んでしまい最終的に小さな力で断裂してしまうことがほとんどです。
犬の前十字靭帯断裂のリスクになる要因としては以下のものが考えられています。
- 遺伝的要因
- 骨の形態学的な要因
- パテラ(膝蓋骨脱臼)の併発
- 肥満
- 加齢
とくに肥満については食事で体重管理ができるため、日頃から気をつけておきましょう。
トイプードルは個体差が大きく、適正体重もそれぞれ異なります。
以下のコラムから愛犬が理想体型かどうか確認してみてください。
トイプードルは前十字靭帯が切れやすい?
トイプードルは前十字靭帯断裂に注意が必要な犬種のひとつと言えます。
トイプードルはパテラの好発犬種で、パテラを治療せずにいると、前十字靭帯断裂につながるリスクがあると考えられています。
パテラだけで症状が軽い場合でも、ほかの骨関節疾患のリスクを考えて手術をする選択肢もあります。
気になる場合は動物病院に相談してみましょう。
また、活発な性格で日頃から以下のような行動が多いと関節や靱帯に負担がかかり続けます。
- ソファやベッドからの飛び降り
- フローリングでのすべり、急なふんばり
- ドッグランでの急な方向転換やダッシュ
- 抱っこ中の急な飛び出し
家のなかにスロープを設置したり、滑り止めマットを使用したりして負担がかからないようにすることをおすすめします。
前十字靭帯が切れているときの症状は?

前十字靭帯が断裂しているときは歩き方で症状に気づく方が多いです。
それ以外にもおすわりや立ち方などに違和感があるときも、前十字靭帯を損傷している可能性があります。
以下のような症状が見られた場合は動物病院に相談しましょう。
- 足を痛そうにしている
- 足をあげる、足を地面につく力が弱そう
- おすわりのときに膝を伸ばして足を投げ出す姿勢になる
- 歩くときに腰が上下に動く
前十字靭帯断裂の治療
前十字靭帯が断裂したときの治療は保存療法と外科療法の選択肢があります。
保存療法
保存療法は手術をせずに症状を落ち着かせる方法です。
ケージに入れてなるべく安静にしてもらい、薬をのませて様子をみます。
しかし、断裂した靱帯はもとに戻らないため症状を繰り返すこともあります。
そのため、根本的な治療として手術がすすめられることが多いです。
外科療法
外科療法では、膝を安定化させる手術が行われます。
人の前十字靭帯断裂とは異なり、靱帯の再建術が実施されることは通常ありません。
膝を安定化させる手術にはさまざまな手法があります。
糸で固定する方法などもありますが、近年では骨を切ってインプラントで固定する方法が選択されることが多いです。
靱帯が切れたまま放置するほど関節内の状況は悪くなり、術後の回復にも時間がかかるため早期治療がおすすめです。
よくある質問(FAQ)
トイプードルが昨日足をあげていた。一晩経ったら足をつくようにはなったのですが、このまま様子をみていても大丈夫?
大丈夫とは言いきれません。
足をあげていたということは足になんらかのトラブルがあったということです。
前十字靭帯断裂が原因だった場合、症状がなくなったのは治ったからではありません。
動物病院に相談しましょう。
トイプードルの前十字靭帯断裂は自然に治る?
治りません。
一時的に症状がなくなったとしても、痛みが慢性化しているだけで靱帯が自然に治ることはありません。
放っておくとむしろ膝の状態は悪くなるため、動物病院の指示にしたがって治療しましょう。
トイプードルがおすわりのときに足を投げ出します。どこか悪いのでしょうか。
前十字靭帯が断裂している可能性があります。
前十字靭帯が切れると膝を曲げられなくなり、自然なおすわりがしにくくなります。
ただし、ほかの疾患でもみられることがあるため、一度動物病院で診てもらいましょう。
まとめ
トイプードルの前十字靭帯が切れると、膝関節が不安定になります。
おすわりのときに足を投げ出したり、足を痛そうにするなどの症状がみられることがあります。
とくにトイプードルでよくみられるパテラは、前十字靭帯断裂につながるリスクもあります。
靭帯は一度切れると自然に治ることはありません。
靱帯が切れたまま放置すると関節炎が進行し、もとの状態には戻れなくなります。
後ろ足に気になる症状がある場合は一度動物病院で診察してもらいましょう。
また、片足に断裂が認められた場合、反対側も断裂するリスクがあるため、継続的な定期チェックが必要です。
トイプードルの後ろ足に気になる症状がある際はお気軽にご相談ください。


大阪市城東区鶴見区の動物病院
城東鶴見どうぶつ病院
森ノ宮みどり動物病院
この記事の監修獣医師
脇谷 知明

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業東京都内動物病院 勤務
麻布大学付属動物病院 整形外科専科研修医(2022〜)
日本獣医麻酔外科学会所属
Fracture Repair on Toy-Small Breeds Course 修了(2023)
AO Vet Course - Principles of Small Animal Fracture Management 修了(2024)
Depuy Synthes TPLO SEMINAR 修了(2024)
膝蓋骨内方脱臼に対する関節再建ドライラボ 修了(2024)



