犬の整形外科って外科以外の治療はあるの?手術以外の選択肢 内科的治療について解説

「整形外科には手術のイメージしかない」
「外科手術以外の選択肢も知りたい」
「気になる症状があるけど、内科治療も提案してくれるのか不安」
整形外科は骨折整復や靱帯修復など手術のイメージが強く、上記のように不安になってしまいますよね。
しかし、
整形外科診療において内科的治療が適応になるシーンは多くあります


今回は整形外科診療における内科的治療について解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、動物病院で相談するときの参考にしてみてください。

立ち上がって足を挙げるチワワ

整形外科診療では、変形性関節症につながる多くの疾患で内科的治療が選択されることがあります。
そのため、内科的治療が適応となるケースは非常に幅広くあります。

変形性関節症とは、簡単に言うと関節軟骨が何かしらの原因ですり減ってしまい、骨や関節包に炎症が起きている状態です。
炎症によって関節痛や関節の可動域制限が引き起こされます。

変形性関節症の原因は幅広く、一般的に「一次性」と「二次性」に分けられます。 

  • 一次性:関節に既存の障害や形状の異常がなく、加齢性変化・体重や運動などの負荷によって生じるもの
  • 二次性:関節内骨折・靱帯断裂・半月板損傷といった外傷や、関節の脱臼または形成異常に続発するもの

人間では一次性が多く認められる一方で、犬では二次性が多く認められます

道端で振り返るトイプードル

残念ながら、変形性関節症によって起こる関節内の変化は不可逆的であり、一度生じると元に戻ることはありません

その進行をいかに緩やかにしてQOLの改善・維持を図るかが治療のポイントとなります。

具体的な治療法としては以下の3つが挙げられます。

体重管理

関節への負担は体重が増えることで大きくなります。
減量することで変形性関節症による痛みのレベルが改善した報告もあります。
過度に減量する必要はありませんが、
標準体型を目指しましょう


標準体型のチェック方法についてはこちらをご覧ください。

運動管理

適度な運動は筋肉量の維持や関節可動域の維持に重要です。
しかし、
過度な運動や無理な動きは関節に負担がかかります



犬が散歩から帰る時に足を挙げている場合は、散歩の距離・時間・スピードなどが負担となっている可能性があります。

犬にとって適正な運動量を継続するようにしましょう。

生活環境の改善

生活環境を整えることもポイントのひとつです。
以下のような場合は関節に負担がかかっている可能性があります。

  • フローリングで生活していてよく滑っている
  • 階段やソファ、ベッドなどの段差を上り下りする


日常生活における生活環境にも気をつけて関節への負担を減らしましょう。

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痛みの管理

変形性関節症が原因で痛みが生じていると考えられるときは痛みの管理が行われます。


痛みの管理として使用される薬やサプリメントにはさまざまな種類があり、
疾患の種類、動物の状態や年齢などを考慮して使用が検討されます

NSAIDsは人間で使用されるロキソニンの仲間で、とくに痛みが強い場合に使用が検討されます

副作用として消化器症状や腎障害が認められることがあり、
消化器疾患や腎疾患がある場合には注意が必要です。

抗NGFモノクローナル抗体製剤は最近発売された新しいタイプの薬です。
月1回の注射で鎮痛効果が得られます。
副作用は少なく、基礎疾患がある場合にも使用できることが多いです。

サプリメントは長期的に使用する場合に最も多く使用されます。
サプリメントなので大きな副作用が認められることはほぼありません。
NSAIDsほどの鎮痛効果はありませんがある程度の効果が認められます

犬が足を痛がっているけど散歩に行っていい?

犬が足を痛そうにしているときは散歩に行かないほうが良いです。

無理に運動させると症状が悪化する可能性があります。

一度動物病院で診てもらい、必要であれば痛み止めなどを処方してもらうと良いでしょう。

犬が関節炎と言われました。関節炎は治療したら治る?

変形性関節症によって起こる関節炎の場合、元の健康な関節を完全に取り戻す、ということはできません。

変形性関節症によって起こる関節内の変化は不可逆的なためです。

関節炎の治療目的は、進行を緩やかにすることです。

犬の関節の健康のためにダイエットを勧められた。どのくらい痩せればいい?

犬種や体重などによります。

理想的な体型は、肋骨が適度に触れて上から見たときにくびれがあり、横から見ると適度にお腹が引き締まっている体型です。

適切な食事管理や運動管理で理想体型を目指しましょう。

 

 

整形外科というと手術のイメージが強いかもしれませんが、内科的治療が適応になることは実際には多く認められます。
変形性関節症によって起こる関節内の変化は不可逆的であり、一度生じると元に戻ることはありません。
したがって、その
進行をいかに緩やかにするかが治療のポインとなります。
「おうちの子がどこか痛いのかな?」と思った場合はお気軽にご相談ください。

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この記事の監修獣医師
  脇谷 知明

脇谷知明獣医師

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業東京都内動物病院 勤務
麻布大学付属動物病院 整形外科専科研修医(2022〜)
日本獣医麻酔外科学会所属
Fracture Repair on Toy-Small Breeds Course 修了(2023)
AO Vet Course - Principles of Small Animal Fracture Management 修了(2024)
Depuy Synthes TPLO SEMINAR 修了(2024)
膝蓋骨内方脱臼に対する関節再建ドライラボ 修了(2024