犬の避妊手術のメリットと注意点|避妊手術の適切なタイミングについて
「子犬を飼い始めたけど避妊手術のタイミングはいつがいいの?」
「メス犬1匹で飼っているので避妊手術はしなくてもいい?」
「犬の避妊手術をした方がいい理由ってなに?」
犬の飼い主さまで上記のような疑問をもつ方は多いのではないでしょうか。
今回は犬の避妊手術をして得られるメリットや注意点について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、避妊手術を検討する際の参考にしてみてください。

犬の避妊手術ではなにをする?
犬の避妊手術ではおなかを開き、卵巣・子宮を取り除きます。
手術当日は絶食絶水の状態で全身麻酔をかけます。
そのため、手術当日までに血液検査やレントゲン検査、必要であればエコー検査などを組み合わせた検査が必要になります。
大きな問題がなければ基本的には日帰りとなる手術です。
去勢手術と避妊手術の違い
男の子は去勢手術、女の子は避妊手術が行われます。
似たような手術と思われがちですが、手術内容や身体への負担などは異なります。
去勢手術はおなかを開かずに睾丸の摘出ができるため、手術時間が少なく身体への負担も比較的少なく済みます。
しかし、避妊手術ではおなかを開いての手術となるため、去勢手術と比較すると手術時間や回復までの時間が長くなります。
去勢手術についての記事はこちらをご覧ください。
犬の避妊手術をするメリットは?

犬の避妊手術をするメリットとしては以下のことなどがあげられます。
- 子宮蓄膿症の予防
- 乳腺腫瘍などの疾患予防
- 発情による出血やストレス、問題行動の軽減
- 望まない妊娠の防止
子宮蓄膿症の予防
子宮蓄膿症とは子宮に細菌が入り膿が溜まる病気です。
とくに高齢になるほど発症リスクは上がります。
膿がたまり子宮が破裂すると命に関わることもある危険な病気です。
高齢になってからの緊急手術はリスクも高くなります。
元気な若いうちに避妊手術を行っておくことで、こうした事態を防ぐことができます。
乳腺腫瘍などの疾患予防
乳腺腫瘍は乳腺にできる腫瘍です。
胸あるしこりとして飼い主さまが気づくことが多く、高齢になるほど発生リスクが高まります。
初回発情前に避妊手術を受けると、乳腺腫瘍の発生を約99%予防できるといわれています。
一方で、発情を経るごとに避妊手術による予防効果は低下するため、早めの手術がおすすめです。
犬の乳腺腫瘍は悪性の割合も高く、発症してからの治療は飼い主さまにとっても愛犬にとっても大きな負担になります。
予防できる可能性が高いうちに手術を受けておくと良いです。
乳腺腫瘍以外にも卵巣腫瘍などの疾患の予防にもなるため、若いうちに避妊手術を済ませておきましょう。
発情による出血やストレス、問題行動の軽減
未避妊のメス犬は年に約2回発情期を迎えます。
この時期は以下のような変化に注意が必要です。
- 食欲の低下する
- 落ち着きがなくなる
- 神経質になる
また、発情出血が1〜2週間続くため、部屋が汚れるといった生活上の負担もあります。
避妊手術を行うことでこれらの発情に伴う変化がなくなり、犬と飼い主さま双方が穏やかな日常を過ごしやすくなります。
望まない妊娠の防止
多頭飼いでないとしても、他の犬との接触があるかぎり妊娠の可能性はゼロとは言い切れません。
発情中の脱走や交配による、望まない妊娠は大きな負担になります。
母犬の身体にも妊娠・出産による大きな負担がかかるだけでなく、飼い主さまにとっては出産や子犬の飼育など経済的な負担がかかります。
避妊手術は、将来的な繁殖を予定していない場合に安心して生活できるための選択肢のひとつです。
犬の避妊手術の注意点

犬の避妊手術はメリットがいくつかありますが、以下のような注意点もあります。
全身麻酔のリスクが伴う
避妊手術は全身麻酔で行われるため、麻酔に対するリスクが伴います。
ただし、手術前の検査で全身状態を確認することでリスクを事前に把握し、より安全に手術に臨むことができます。
基本的に若いうちの方が持病も少なく麻酔リスクが低いため、麻酔のリスクを考えても若いうちに避妊手術を済ませてしまう方がおすすめです。
手術後は太りやすくなる
避妊手術後はホルモンバランスの変化により、肥満になりやすい傾向があります。
肥満になると糖尿病や関節疾患になりやすいため注意が必要です。
ただしこれは、食事の見直しと適切な体重管理によって十分対応できるデメリットです。
フードの切り替えや給餌量の見直しなどで体重コントロールができます。
避妊手術の適切なタイミング
避妊手術は、一般的に生後6か月前後・初回発情を迎える前を目安に計画すると良いです。
特に初回発情前に行うと乳腺腫瘍の発症率が大幅に下がることが報告されています。
また、避妊手術を行うタイミングで乳歯が残っている場合は麻酔下で一緒に抜くため、歯の状態も合わせて確認されます。
よくある質問(FAQ)
子犬を飼い始めたので避妊手術を検討しているが、全身麻酔が心配。麻酔リスクはどのくらい?
犬の状態によります。
子犬でも先天性疾患があったり、犬種によっては構造の問題で麻酔リスクが上がることもあります。
事前に検査で病気が隠れていないか確認することが大切です。
高齢犬ですが避妊手術をしていません。今からでもした方がいい?
犬の状態によりますが、できることならした方が良いです。
子宮や卵巣などの疾患になる可能性があり、そうなった場合結局手術になることもあります。
まずは全身麻酔をかけられるか状態どうか、動物病院で検査してもらいましょう。
発情中でも避妊手術はできますか?
可能です。
ただし、発情期中は子宮や卵巣周辺の血流が増えるため出血量が増えやすく、身体への負担が大きくなることがあります。
発情期を避けた時期での手術がおすすめですが、健康状態が良好であれば手術は可能です。
まずは動物病院に相談しましょう。
まとめ
避妊手術は去勢手術と比較して、身体に負担のかかる手術です。
犬の避妊手術には注意点もありますが、病気の予防などの大きなメリットもあります。
高齢になって避妊手術をしていないと、子宮や卵巣の疾患になる可能性があります。
その場合手術が必要となることもあるため、麻酔リスクが比較的低い若いうちに避妊手術をしておくことがおすすめです。
避妊手術は生後半年ほど、初回発情を迎える前を目安に考えましょう。
避妊手術についてご不明点があればお気軽にご相談ください。
この記事の監修獣医師
院長 脇谷俊佑

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業
大阪市内動物病院 勤務
城東鶴見どうぶつ病院 開院
近畿動物医療研修センター 画像科研究生
獣医教育・先端技術研究所(IVEAT)腹部超音波検査研修 修了
日本獣医がん学会 所属


