ミニチュアダックスフンドでよくあるヘルニアとは?椎間板ヘルニアの症状や予防法
「ミニチュアダックスフンドに多いヘルニアってなに?」
「急にダックスが足を引きずるようになったけどヘルニア?」
「飼っているダックスフンドが椎間板ヘルニアにならないようにはどうしたらいい?」
ダックスフンドの飼い主さまで上記のような疑問をもつ方は多いのではないでしょうか?
今回はミニチュアダックスフンドをはじめとする、ダックスフンドに多い椎間板ヘルニアについて解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、気になる症状がみられたときの参考にしてみてください。
椎間板ヘルニアとは?

椎間板ヘルニアは、背骨と背骨の間にある椎間板が変性や損傷によって飛び出した状態です。
椎間板は本来、背骨にかかる衝撃をやわらげるクッションの役割を担っています。
しかし、これが何らかの原因でつぶれて中身が飛び出すと、背骨の中を通る太い神経である脊髄を圧迫し、症状を引き起こします。
ミニチュアダックスフンドに代表されるダックスフンドの椎間板ヘルニアは、突然症状が出てきて急激に症状が進むことが多いです。
ダックスフンドが椎間板ヘルニアになりやすい理由

ミニチュアダックスフンドなどの犬種が椎間板ヘルニアになりやすい理由は、体の構造にあります。
ダックスフンドは軟骨異栄養犬種と呼ばれる犬種のひとつです。
軟骨異栄養犬種は椎間板が変性しやすく、わずかな負荷でも中身がとびだして脊髄を圧迫するリスクが高まります。
この変性は生後約2ヶ月から始まって、1歳になる頃には75〜90%ほどの椎間板が変性を起こしていると言われています。
さらに、ダックスフンド特有の胴長短足の体型が背骨への負担を増やすことも一因です。
ダックスフンドのうち約20%が生涯のうちに椎間板ヘルニアになるとも言われていて、この犬種にとって非常に身近な疾患といえます。
これは他の犬種の10倍ほど多いとされています。
椎間板ヘルニアのグレード
椎間板ヘルニアは症状の重さによってグレード1〜5に分類されます。
グレードが上がるほど重症で、治療の選択肢や回復率も変わります。
飼い主さまが気づくのはグレード1〜2の段階が多く、この時期の気づきが回復に大きく影響します。
| グレード | 主な症状 |
| グレード1 | 背中や首を痛がる・触られるのを嫌がる・震える・背中を丸める |
| グレード2 | 歩き方がふらつく・よろける・後ろ足に力が入りにくい |
| グレード3 | 後ろ足に力が入らず歩けない・引きずる |
| グレード4 | 痛覚はあるが後ろ足が完全に麻痺・排泄のコントロールが困難 |
| グレード5 | 後ろ足の痛覚がなくなる・深部痛覚の消失 |

椎間板ヘルニアの診断
椎間板ヘルニアが疑われると、動物病院では以下のような検査が組み合わせて行われます。
- 視診、触診
- 神経学的検査
- レントゲン検査
- CT検査
- MRI検査
とくにMRIは軟部組織の評価に優れており、手術を検討する際には不可欠な検査です。
CT検査・MRI検査など麻酔をかけての高度画像診断が必要な場合は、専門施設と連携をとって検査を行います。
椎間板ヘルニアの治療方法

椎間板ヘルニアの治療は、内科療法と外科療法に分かれます。
どちらの治療が適しているかは以下のことなどをもとに判断されます。
- 症状の程度
- 発症からの経過時間
- 犬の全身状態
内科療法
内科療法は軽症の場合に選択されます。
ケージレストによる絶対安静を基本とし、炎症を抑える薬や痛み止めを使いながら回復を待ちます。
この時期に動きすぎると症状が悪化することがあるため、徹底した安静管理が必要です。
しっかりと動物病院からの指示を守りましょう。
外科療法
グレード3以上で推奨されることがとくに多く、圧迫している椎間板物質を取り除き、脊髄への圧迫を直接解除します。
グレード4〜5では緊急性が高く、発症から手術までの時間が回復率に大きく影響するため、素早い判断が求められます。
自宅でできる予防と環境づくり

椎間板ヘルニアを完全に防ぐことは難しいです。
しかし、以下のように日常の環境を整えて身体への負担を減らすことでリスクを大幅に下げることができます。
ジャンプをさせない
ジャンプなしで昇降できるよう、高低差のあるところにスロープやステップを設置するのがおすすめです。
身体に負担がかからない方法で抱っこする
背骨が弓なりに曲がると負担になるため、抱っこのときは背骨が水平になるよう胸とお尻を両手で支えると良いです。
滑らない床材を使う
マットやカーペットなどの滑りにくい床材を敷きましょう。
滑ってしまうと、ふんばるときに背中に負担がかかりやすくなります。
適正体重を維持する
適正体重維持のための定期的な体重チェックや食事管理がおすすめです。
体重増加は椎間板や関節などへの負担が増えやすくなります。
よくある質問(FAQ)
ダックスが急に後ろ足を引きずるようになった。動物病院に行った方がいい?
はい。
できるだけ早く受診することをおすすめします。
ダックスフンドに多いハンセンⅠ型の椎間板ヘルニアが原因だった場合、重症化するリスクも高く、様子をみることはおすすめできません。
ミニチュアダックスが椎間板ヘルニアと診断された。手術は絶対に必要?
犬の状態によります。
椎間板ヘルニアが軽症の場合、内科療法で症状が落ち着くこともあります。
ただし、重度の場合や内科療法で改善がみられないときは外科療法が勧められることがあります。
ダックスの椎間板ヘルニアの手術を受けたあとに再発することはある?
あります。
椎間板ヘルニアの手術後の再発率は約20%と言われています。
さらにダックスフンドは他の犬種と比較して再発率が高いとされています。
手術後に再発させないよう自宅でもできる限り環境を整えておきましょう。
まとめ
ミニチュアダックスフンドをはじめとするダックスフンドは椎間板ヘルニアになりやすい犬種です。
椎間板ヘルニアが軽症の場合は内科療法で改善することがあります。
中等度〜重症の場合や、内科治療で改善がみられない場合は外科療法を勧められることが多いです。
ダックスフンドの椎間板ヘルニアは突然症状が出てきて、急激に症状が進行することがあります。
症状が出ていても若いからそのうち治るだろうという油断は禁物です。
気になる症状がみられたときは早めにご相談ください。


城東区鶴見区の動物病院
城東鶴見どうぶつ病院
森ノ宮みどり動物病院
この記事の監修獣医師
院長 脇谷俊佑

麻布大学獣医学部獣医学科 卒業
大阪市内動物病院 勤務
城東鶴見どうぶつ病院 開院
近畿動物医療研修センター 画像科研究生
獣医教育・先端技術研究所(IVEAT)腹部超音波検査研修 修了
日本獣医がん学会 所属



